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入居企業インタビュー#18 株式会社Kokage 大島 草太さん

株式会社Kokage
代表取締役 大島 草太

栃木県宇都宮市出身。福島の大学に進学し、授業で浜通りや川内村に関わる。全国・世界を巡る旅や留学経験の中で感じた「福島の魅力を世界に伝えたい」という思いから起業。

Q1. 主な事業内容について教えてください。

私たちKokageの主な事業は商品開発とその販売で、現在3つの部門があります。

1つ目は「Kokage Kitchen」です。川内村のそば粉を使ったワッフル屋のキッチンカー事業を営んでいます。

2つ目が、「Tea&Things」です。県内で育った規格外のフルーツを買い取り、県内の高校生や大学生たちと一緒に、自家栽培のハーブとブレンドしたフルーツハーブティーを生産・販売しています。

3つ目が、新しく立ち上げようとしている「naturadistill(読み:ナチュラディスティル)」です。川内村に蒸留所を立ち上げ、ジンをはじめとした蒸留酒の製造をおこなっています。

昨年までは私が唯一の社員でしたが、今年から川内村に移住して入社してくれた社員を迎えました。建築・商品開発・PRなどをはじめとして多くの学生とも関わりながら事業を進めています。

Q2. 会社設立のきっかけを教えてください。

私は栃木県宇都宮市出身ですが、福島の大学に進学し、浜通りや川内村に関わる授業を通じて、この地域の魅力を知りました。ここには面白い人々や熱意、土地への誇りがあり、豊富な地域資源も存在します。

しかしながら海外を訪れた際に「FUKUSHIMA」の持つイメージがあまり良くないことを知り、そのイメージを払拭したいという思いを持ちました。

自分自身が感じた魅力と豊かな資源を活用すれば、福島のイメージを世界に向けて変えることができると確信しています。現在おこなっている事業はその目標に向かう最適な手段だと感じています。

また、「naturadistill」については、以前働いていた「株式会社ホップジャパン」でのビール作りの経験から、植物の香りをダイレクトにお酒に移すことのできる「蒸留酒」に魅力を感じたため、この事業を立ち上げています。

さらに、蒸留酒には賞味期限がないため、世界に届けやすいという特徴もあります。この土地で自分自身が山を歩いていて嗅いだ香りを商品に閉じ込め、遠くの人にももらえるならば、とても面白い魅力の伝え方だと思っています。

工場の大きさは一般的な家程度で、その2階にはレストランバーを設けます。ここでは、新しい社員が料理とのペアリングを担当し、減圧蒸留で作ったお酒に合う料理を提供します。

減圧蒸留は圧力を下げて沸点を下げる方法で、例えば花を使う場合、30度程度で蒸留するので、花の色や香りを保ったまま蒸留することができます。

この技術を使って、蒸留の工程を目の前で見せながら、抽出した香りを料理に活かすという演出も考えており、足を運びたいと思ってもらえるような、独自の体験ができる場を作りたいと思っています。

Q3. OICに入居したきっかけと活用方法を教えてください。

それまでの勤務場所は自宅兼事務所だったため、集中して作業できる場所が必要でした。そこでOICの存在を知り、月額3,000円で24時間利用できる点に魅力を感じました。現在は夜間に事務作業を行っています。

また、大熊町では町民の方とハーブ畑をつくるプロジェクトを構想中です。大熊の素材を使った商品作りも検討しています。

OICにいると多様な人に出会えるので、情報共有、意見交換という面でも、人が集まる場所になっているところがいいなと思っています。

Q4. 普段はどのような生活をしていますか。

お酒を飲むことが好きなので、営業活動も兼ねて福島、仙台、東京などではバーに行くことが多いです(笑)
また、今は元別荘の空き家を借りて、田舎ならではの生活を楽しんでいます。

Q5. おすすめしたい○○を教えてください。

「酒が薬で薬が酒で」という本ですね。外国の研究者が書いた様々な酒に関する論文をまとめたもので、日本語に翻訳されたものです。

元々、酒は「百薬の長」と言われるように、薬として生まれた背景があり、病気から人を救うためにアルコールの技術が使われました。それが現在では嗜好品として楽しまれています。

私が今取り組んでいる蒸留所の建物は、元々薬屋の倉庫だったところを改修しており、酒と薬が近い関係にあることを感じています。

私が作りたいのは、酒好きのためだけのものではなく、山の香りを再現したり、森林浴の疑似体験ができるような、香りを楽しみながら気分を変えることができるものです。ウェルネス産業が成長する中で、心と体の健康に寄り添う酒を提供したいと思っています。

昔、酒は薬として生まれましたが、今では嗜好品となり、タバコのように好きな人だけが飲むものになっています。私のブランドでは、様々な文脈で現代の薬となるようなお酒をつくり、世界に発信していきたいと考えています。

Q6. 今チャレンジしたいことはなんですか?

とにかく美味しくて面白いお酒を作ることが、最優先で頑張らなければならないことですし、挑戦したいことです。

僕たちが作るお酒には、他の業界では使われていない素材や植物を使用する予定ですし、減圧蒸留などの新しい技術も取り入れる予定です。

まだ誰もやっていないことをここで生み出すという点で、本当に大きなチャレンジだと思っています。

Q7. あなたにとっての大熊町とは

魅力的なフロンティアの集まる場所です。

開拓精神に満ちた起業家たちや、事業の有無にかかわらず面白い人々が集っています。また、未発掘の素材が多く存在しており、今の時代は持続可能な方向に向かっているので、それらの素材をうまく活用できるチャンスです。

なぜこんな田舎にこんな面白い人がいるのかと思うこともありますが、そういった人々が集まり、横のつながりや打ち合わせからさらに新しく面白い人、ものが生まれているのだと思います。こういった場所にいると、やはり挑戦するのが楽しいです。

今私が一番力を入れているのはお酒の分野なので、お酒好きな人はもちろん、すでに行なっている農業や芸術など様々な分野とのコラボレーションをしながら、今までにない地域の魅力が作れたらと思っています。

◆編集担当より

いかがでしたか。

今回の取材を通して、大島さんの挑戦心が強く伝わってきました。Kokageの事業が、福島の魅力をを世界中に伝える第一歩になることを期待しています。また、新事業「naturadistill」についても今からとても楽しみです。皆さんもぜひ行ってみてください!

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