入居企業インタビュー#28 株式会社MedicalCirculator 高山 能成さん
株式会社MedicalCirculator
高山 能成さん
一般社団法人日本機械学会認定 計算力学技術者熱流体力学分野1級を所有。流体シミュレーション(CFD)の経験11年、筑波大学大学院卒(工学修士)。修士では教授推薦で産業技術総合研究所、就職後は株式会社デンソーを経て、シーメンス株式会社→起業。
Q1. 主な事業内容について教えてください。
MedicalCirculatorは先月登記されたばかりの新しい会社で、二つの主要事業に分かれます。一つ目はエンジニアリング事業、二つ目は出版メディア事業です。
前者では、主に流体シミュレーションを活用した医療機器や工業製品の開発支援を行っています。具体的には医師と協力し、CFD(計算流体力学)を利用して医療機器の改善や新しい手術方法の開発を進めることで、患者様のQOL向上に貢献するという事業を運営しています。
さらに、子どもの心臓病治療における血栓形成のリスクを低減するための研究を進めています。心臓手術後の患者の死亡率を減少させることを目指し、手術方法の改善に取り組んでいます。
この事業は空気や血液の流れの解析と、その正常化や改善が主な内容であるため、液体や気体が”流れる”場所が全て市場と言えます。感染制御、再生医療、ドローン技術、原発関連など、広範な分野で貢献したいと考えています。
出版メディア事業では、福島の医療充実を目標に、特にお母さんや子供の医療支援に注力しています。以下の流れの中で、私たちは①と③を担います。
- メディアで医療に関する情報発信をする
- そこで発見した課題に対してエンジニアリング事業によって解決を図る
- その取り組み内容をメディアで発信したり、再現性を生み出すために教育する
お母さんと子どもを初めとする医療全般において、皆さんの役に立つような情報発信をしたいと考えております。
Q2. OICに入居したきっかけと活用方法をおしえてください。
入居のきっかけは、当時のチームメンバーが「福島★復興グランプリ」で受賞したことを通じてOICのインキュベーションマネージャーである黒田さんと知り合ったことです。その後、おおくま学園祭に訪れた際「ここで起業しよう」と決めました。
大熊では、FTC(Fukushima Tech Create)という補助金で採択された医療機器の開発を視野に入れた子どもの命を救うための事業に加え、それ以外のシミュレーション技術にも取り組んでいます。
今後は出版メディア事業との連携を駆使し、医療従事者やメーカー関係者を集めたカンファレンスや模擬手術などを行い、医療技術の交流を促進する計画があります。
最終的なゴールは、福島で生まれた子が福島で心臓血管の難しい手術・治療を受けることが出来るようにすることです。
私は現在長野に在住しており、頻繁に福島に足を運ぶことは難しいものの、実際に現地の研究施設や企業と直接会って話し合いながら、医療機器などの開発を通じて貢献したいなと考えています。
また、OICでは異業種の方との交流が出来るので、そこでの化学反応を起こすことが出来たらいいなとも思っています。
Q3. 普段の生活について教えてください。
実は複数の仕事をしており、平日は外資系企業でフルリモートで働きながら、MedicalCirculatorの経営をしています。
長野県松本市で家族と一緒に生活しており、5歳と2歳の息子がいます。息子たちとは一緒に本を読んだり公園に遊びに行ったりしますが、そういう時間は本当に大切にしたいなと思っています。
家事も妻に任せきりなのは申し訳ないので、手伝える時は手伝うという感じです。
また、趣味では高校で始めたドラムを続けており、一応テレビに出たこともあります(笑)
Q4. おすすめしたい○○を教えてください。
映画「ブルージャイアント」です。
漫画が原作なのですが、音楽を通じて主人公のひたむきさや努力を描いており、視聴者に感動を与えます。ストーリーもすごく感動したのですが、作中の音楽はピアニストの上原ひろみさんが監修されていてとても好きでした。
Q5. 今チャレンジしたいことはありますか?
現在はMedicalCirculatorの起業が最も大きなチャレンジです。医療機器の開発や新しい手術方法の開発、それ以外の工業製品の開発の話も出てきているので、チャレンジの真っ只中だと思います。
プライベートでは、息子と一緒にギターを始めたいと考えており、家族でセッションできたら面白いなと思っています。
Q6. あなたにとっての福島県、大熊町とは。
大熊町は、MedicalCirculatorにとって化学反応を起こす場所です。
交流会などで多くの才能ある人々が集まり、新しいアイデアやプロジェクトが生まれる場として大きな可能性を秘めています。
私たちの基盤は医療ですが、仲間の発信力やメディアの力を使ってもっと人を集めたり連携を盛り上げるための手段を作るなど、新たな化学反応も起こせると確信しています。
◆編集担当より
いかがでしたか。
同社は2024年6月法人設立し、同月に国家事業である福島イノベーション・コースト構想推進機構が運用するイノベーション創出プラットフォーム「Fukushima Tech Create」におけるビジネスアイデア事業化プログラムに採択されています。
弘前大との共同研究で、赤ちゃん・子どもの心臓手術の「血栓トラブル死」減少に向けた世界初の血流制御技術の開発を行う同社。今後の活躍が楽しみです!