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入居企業インタビュー#29 株式会社フーム 福井 美行さん

株式会社フーム
福井 美行さん

東京理科大学理工学部卒業後、中央宣興、I&SBBDOを経て、2000年に株式会社フーム設立。2024年4月にOICに入居。

Q1. 主な事業内容について教えてください。

株式会社フームは2000年に設立されました。

元々は広告代理店でゲームの宣伝を手掛けていましたが、コンテンツ開発の重要性を感じ、漫画家やイラストレーター、プログラマーのブッキングを始めました。

現在ではソーシャルゲームのイラストレーターのエージェント業務や、漫画制作、さらには韓国市場への進出も行い、任天堂のサポートや漫画のローカライズ、共同制作を展開しています。

 

Q2. 事業を始めるきっかけをおしえてください。

弊社は、第九次自立・帰還支援雇用創出企業立地補助事業において採択されたことで、大熊町で生成AIを活用した事業を始めます。将来、生成AIを使った漫画制作ツール等を元に、大熊町で漫画産業が根付くことを目指しております。

この事業では、漫画制作における作業量の増加に対処し、作家が自由に創作できる環境を整えることを目指していますが、現段階では著作権の問題により商業利用は難しく、実用化には至っていません。

特に、stable diffusionやMidjourneyのような生成AIは、日本では学習に使えるものの、ヨーロッパでは禁止されており、訴訟が相次いでいるためグレーゾーンとなっています。私たちは、この問題を避ける方法を研究している段階です。

生成AIの商業化においては著作権侵害の懸念がありますが、教育や文化振興の目的での使用は問題ないとされています。そのため、漫画を商業的に販売することはまだ難しいものの、まずは大熊町立 学び舎ゆめの森(認定こども園と義務教育学校が一体化した0歳〜15歳まで所属できる学校)で子どもたちにこのツールに親しんでもらい、自由な発想を形にする場を提供しようと考えています。

大熊町長とも話し合い、生成AIを活用した教育カリキュラムの構築にも取り組んでいます。

Q3. OICの活用方法を教えてください。

現在、OICは主に役場とのミーティングやリモートワークの場として活用しています。

話は少し逸れますが、私のキャリアの始まりは約40年前、東京の広告代理店で新卒社員として富岡町にある第二原子力発電所をPRする「エネルギー館」をプロデュースする仕事でした。東京電力ホールディングス(株)へのプレゼンが通り、プロジェクトに携わることとなりました。

震災後、30年ぶりに訪れた際には、原子力発電所の水素爆発事故を受けてエネルギー館ではなく「廃炉資料館」に様変わりし、外装はほとんど変わっておらず、残り続けていることに心を痛めました。

そんな昔からの関わりがあるこの福島でのプロジェクトには、長年の個人的な関心もあります。

Q4. 普段の生活について教えてください。

私は仕事と並行してミュージシャンや詩吟の活動も行い、様々な場所での活動を楽しんでいます。特に詩吟を通じて、大熊町のお年寄りの皆さんと知り合うことができました。

多種多様なことをしてないと人生が楽しくなくなってしまう性格ですので、いる場所もやることも一つに定めず、同時に楽しむようにしています。色々な場所でリモートワークをすることが、糧にもなっています。

Q5. おすすめしたい○○を教えてください。

詩吟をぜひお勧めしたいです。

詩吟には独自の魅力がありますが、現代の人々にはあまり感じられていないかもしれません。大正や明治時代には、みんな歌いたくて堪らない、そんな時代も本当にあったそうです。

詩吟は日本の心を表現する伝統文化ですので、逆に今の時代に広められたら良いなと考えています。また、相川七瀬さんのヒット曲を詩吟にアレンジした作品もYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。

Q6. 今チャレンジしたいことはなんですか?

詩吟と生成AIを組み合わせたショート動画を制作し、再生回数1万回を目指しています。
最終的には、漢詩や短歌、俳句などを謳い、漫画やイラストの仕事と伝統文化をつなげることが目標です。

Q7. 関心のあること・分野を教えてください。

やはり生成AIに非常に関心があります。生成AIは社会の仕組みや秩序を変える可能性があり、特にデータセンターへの投資が増加しています。

データセンターを活用した情報の行き来がさらに活発になっていくことは比較的広く認識されていますが、社会がどのように変わるかまでを理解している人は少ないと感じます。

最近、クリエイティブな職能(チラシデザインや動画活用、webサイトなど)を生成AIで代替する企業も出てきており、これはこれまでに経験したことのない大きな変化なので、こうした生成AIがもたらす影響には非常に注目しています。

Q8. あなたにとっての福島、大熊町とは?

大熊町は、新しいアイデアが受け入れられる特別な場所で、SimCity(オリジナルの町をデザインできるゲーム)が現実にあるようだと感じています。10年後や20年後には驚くような発展があると信じています。

また、私自身、昨年11月から短期間で、地域のいろいろな方と交流させていただきました。
その中で1人の人間として、漫画×生成AIと詩吟の両方の面から大熊町を支えて役に立つことが出来ればいいなと思っております。自分にやれることをやるのみです。

◆編集担当より

いかがでしたか。

生成AIを使用した漫画制作等を行う株式会社フームの福井さんにお話を伺い、本当に様々な分野の企業の方々が大熊町に集まってきているのだなと感じました。

これからの福井さん、フームの活躍がとても楽しみです!

 

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