入居企業インタビュー#31 東北技研工業株式会社 羽根田 修さん
東北技研工業株式会社
羽根田 修さん
いわきで生まれ育ち、建設業を通じて大熊町に足を運ぶ。その中で気づいた「足りないもの」を補う形で様々な事業をスタート。
Q1. 主な事業内容について教えてください。
私自身は大熊町出身ではなくいわきで生まれ育ったのですが、もともと建設業に携わっていました。
町の復興はまず建設から始まることが多く、その面から自分たちにできることを1つずつ行なっているうちに、現在では多岐に渡るサービスを展開させていただいています。
大熊町に来て当初は、まだ避難指示解除から日も浅かったため、町に戻ってきて住むという町民の方は多くありませんでした。そのため、多くの人員を割かずできるだけ自分たちの会社で完結できるように工夫しながら、食品販売、ゴミの収集運搬、警備業務などのサービスを提供してきました。
例えば、最初は店舗を持たずに移動販売車の形で食品や日用品を販売し始め、次に町のニーズに応える形で役場の前に売店を設置しました。その後コンビニエンスストアへと発展したのが、現在大川原地区で弁当やパンなどを販売しているデイリーヤマザキです。
他にも、建設業を通じて地域に足を運ぶ中で不足しているものに気づくと、それを補う形で事業を展開してきました。東京電力や除染関連の企業と連携し、熱中症対策のための氷の提供なども行なったり、社員宿舎を運営する企業の支援をしたり、警備や清掃業務なども含め、大熊の町も企業も成長できることに対して幅広く事業活動をさせていただいています。
Q2. OICをどのように活用していますか?
OICでは入居企業と協力して一緒に事業を行なっています。
例えば入居企業のAIBODさんと協力し、AIBODのAI無人レジシステムを活用して我々の運営するデイリーヤマザキの商品をOICで購入することができるなど。特に大熊町からの食料運搬は、主に私たちの会社が担っているように感じます。
たくさんの企業さんと話し合いながら、街のハード面を強化していくことを目指しています。
Q3. 今後大熊町で計画していることはありますか?
現在、私たちのコンビニで大熊産のいちごを使ったソフトクリームの販売が決まっており、来月には味が確定し、2月頃から販売開始を予定しています。
弊社で運営しているデイリーヤマザキは通常のコンビニエンスストアとは異なり、大熊で作られたお米やお酒を中心に、お土産売り場を設けています。
震災以前、大熊町で「横田菓子店」として営業していた「アトリエnobuya(ノブヤ)」のチーズブッセのような商品は、役場や商工会さんの協力のもとで仕入れ、販売しております。
また震災後に作られたいちご、生姜、しめじ、ジャガイモなどの農産物や、そこから開発された日本酒「帰忘郷」など、町の魅力ある商品も仕入れ販売し、復興を支援しながら自社の利益にも繋げていきたいです。
また、まだ物流が限られているため、自社の冷凍車なども活用し商品を運んでいるほか、店舗内にはキッチンがあり、パンやお弁当はそこで手作りしているため、災害時にも材料さえあれば対応可能なのも我々の事業の特徴です。
デイリーヤマザキ内ではクリーニング店も運営しており、こういった活動も地域の方々との関わりの中で、不足しているものを補充していくように始まったサービスの一つです。
ここ最近はキッチンカーも運営し、大熊のお弁当をさらに広めていきたいと思っています。1人でも多くの住民が戻り、人口が増えることが町の活気にも、企業の収益にも繋がるため、復興に向けて全力で取り組んでいきたいと思っています。
Q4. 普段の生活について教えてください。
私はコンビニを365日営業し、飲食店も2店舗運営しているため、土日も休みはありません。
しかし、大熊町がどんどん変わっていく様子を見ていることが自分の楽しみであり、それこそが自分の休息やエネルギーの補給になっています。
社長ではありますが、現場に行かないと始まらないのが実情で、自分の考えも反映させたいので、できるだけ事業に関わるようにしています。
まさに、仕事が趣味のようなものです(笑)。
Q5. おすすめしたい○○を教えてください。
大川原で運営している「コミュニティキッチン 090」さんのハンバーガーは値段が安くて美味しいと思います。正直、もっと遠くからお客さんが来ても良いと感じています。自家製のパンを使い、マクドナルドやケンタッキーにも負けない味を出していますが、住民が少ないため集客が難しいのが現状です。
私のおすすめは090ハンバーガーと、今は大熊町でのお土産作りにも興味があります。特に帰忘郷で作った米粉クッキーや、大熊のいちごを使った製品です。大熊町商工会や青年会議所と協力し、大熊町のB級グルメを作ってイベントに参加することができたらと思っています。
大野駅の近くで二郎系ラーメンのキッチンカーを運営したい、震災前にあった郷土料理を復活させたい、無人のロッカーで夜でも美味しいご飯を受け取れるようにしたい、などたくさんの目標があるため、協力いただける方々と力を合わせてPRし、一緒に取り組んでいければと思います。
Q6. あなたにとっての福島、大熊町とは?
いわきに生まれ育ちましたが、今では大熊町の事業に最も力を入れています。大熊町は私にとって第2の故郷のようなもので、復興の初期から関わっていたので、町の復興を見届けたいと思っています。最初の頃は警察に職務質問されることもありましたが(笑)、今では町も会社も大きな変化を遂げていることに興味と感動を覚えています。
「様々な取り組みに全力で挑戦し、成功も失敗も経験しながら楽しんでいきたい」という思いはOICに入居している多くの企業と同じだと思いますし、自分の成長だけでなく他の企業が成長するのを見るとまた頑張れたり、励みになったりするので、若い人と共に気づかなかったことを学びながら、多くの事業に取り組んでいきたいです。
◆編集担当より
いかがでしたか。
今回のインタビューを通じて、普段自分たちが利用しているお店の生い立ちや、創設者の思いを感じることができました。また、さまざまな工夫やこだわりについても知ることができ、日々同店に行くことがより楽しみとなりました。
皆さまもぜひ、足を運んでみてください!