EVENT / BLOG

入居企業インタビュー#20 株式会社ドローン技術研究所 大川 由夫さん

株式会社ドローン技術研究所
大川 由夫さん

株式会社先端力学シミュレーション研究所で働いた後、株式会社ドローン技術研究所を設立。ロボットシステムのハードウェアを開発し、空飛ぶクルマの早期実現を目指す。

Q1. 主な事業内容について教えてください。

弊社はドローン・ロボット関連の技術開発および試作・評価を主な事業としております。

私たちの目標は、ドローンの国産化です。現在、海外製のドローン、特に中国製は安価で性能が優れています。そのため、国内のドローンメーカーの多くは海外製部品を使用しており、機体販売で利益を上げている国内メーカーは少ないのが現状です。

しかし、海外製品に依存し続けると、さまざまな問題が生じる恐れがあります。たとえば、製品の仕様が知らないうちに変更されてしまうと、機体のチューニングが必要になり、同じ性能のドローンを作ることができなくなる可能性があります。また、以前購入したものと同じ製品が手に入らない事態も起こり得ます。

このような状況では、ドローン産業は発展しません。そのため、弊社では自動車産業のように、一度製造したものを国内で安定供給するための仕組みを作りたいと考えています。

さらに、ドローンは今後さまざまな分野に進出すると予測されています。特に人手不足が問題となっている物流分野では、ドローンの活用が期待されています。もし街中をドローンが飛び交うようになれば、その安全性が非常に重要となります。

そのため、プロペラなどの要素技術において、海外製に負けない技術を準備していきたいと考えています。

Q2. この事業を始めたきっかけを教えてください。

私は前職で、日本では珍しいシミュレーションソフトウェア開発の企業に従事していました。その際、ドローンを飛行させる際の周囲の空気の流れについて研究することになり、ドローンを購入しました。

しかし、そのドローンのパーツは海外製で、当時は品質が良くないものが多かったため、より優れたものを作れるのではないかと考え、自分で作成したところ、良いものができました。

ですが、その会社ではドローンの部品を製造して販売することができなかったため、思い切って現在の企業を設立しました。

Q3. OICに入居したきっかけについて教えてください。

大熊町に本社を構えたいと考えたことが、OIC入居のきっかけです。

もともと前職では、南相馬市を拠点に、同市のロボットテストフィールドでドローンの実験を行っており、県内の大学や福島県内の企業と連携していました。

その際、大熊町がゼロカーボンの推進に取り組んでおり、風力発電などの再生可能エネルギーを発電手段として導入していることを知りました。実は、ドローンと風力発電機の構造はよく似ています。ドローンは電気でプロペラを回しますが、風力発電機はその逆で、プロペラを回すことで電気を生成します。

そのため、弊社が培ってきたドローン技術を活かし、大熊町のゼロカーボン推進に貢献したいと考え、OICに入居しました。

同社の電動工具用バッテリーを利用したドローン(左)と大型プロペラ性能試験

Q4. 普段の生活について教えてください。

私の時間の大半は、ドローン関連事業に注力しています。
創業当初は私一人で運営していた企業でしたが、現在では6名の従業員を抱える組織に成長しました。経営者として、ドローンの研究開発に加え、人事労務や経理などの管理業務全般も担当しています。

特に力を入れているのが

ドローン部品の試作開発、性能評価、設計です。中でもプロペラは、使用目的によって最適な仕様が大きく異なる重要なパーツです。

例えば、空撮や測量用のドローンでは、繊細な制御が求められるため、全体的な軽量化が不可欠です。しかし、飛行の安定性を確保するため、ヘリコプター用のローターでは内部にオモリを埋め込むようなことが必要になります。

現状、多くの事業者は海外製の汎用パーツを単純に機体のサイズ基準のみで選定していますが、当社では用途に応じた最適設計を追求することで、製品の品質を向上させ、差別化を図りたいと考えています。

Q5. おすすめしたい○○を教えてください。

福島県の海をおすすめします。

特に、南相馬市の海水浴場は美しく、静かな海辺の雰囲気にとてもリフレッシュできます。最近はなかなか訪れる機会がありませんが、以前はよく散歩していました。

今後は、北の新地方面ま

で足を延ばして、さらに美しい海の景色を楽しんでみたいと考えています。

Q6. 今チャレンジしたいことはなんですか?

現在開発中のドローンを完成させ、お披露目会を開催することが目標です。

また、現在は小型・中

型のドローンを製作していますが、将来的には大型ドローンの開発を目指しています。大型ドローンの技術を応用すれば、空飛ぶ車といった夢のようなプロジェクトも実現可能かもしれません。しかし、日本では規制が多いため、実現には時間がかかると予想されます。そのため、現時点ではその分野には取り組む予定はありません。

それよりも、まずは各種要素技術で優れたものを実証し、他の企業から「使いたい」と言っていただけるようになりたいと考えています。

Q7. 関心のある分野を教えてください。

特に関心があるのはエネルギー分野です。

ドローンは想像以上に電力を消費する機械です。機体が大きくなるほどその消費電力は顕著になり、それに伴いバッテリーの充電にも多くの時間がかかります。最近はバッテリーの研究が盛んですが、仮に優れたものが開発されたとしても、まずはスマートフォンや自動車などに技術が応用され、ドローンへの活用はその後になると考えています。

しかし、ドローン技術の発展においてエネルギー分野は非常に重要です。そのため、自社や、個々に優れた技術を持つ他の企業と協力し、さらに高性能で長時間飛行可能なドローンの実現を目指しています。

Q8. あなたにとっての大熊町とは?

大熊町は多くの可能性を秘めた町であり、復興において大きな役割を担う場所だと考えています。復興への道のりは平坦ではないかもしれませんが、そのような状況の中で、外部からの人や企業が増え、地域が活気づいていくことを期待しています。

私もこの地に根を下ろし、復興を支えながら新しい技術の実証を進め、人々にとってさらに魅力的な土地にしていきたいと考えています。

◆編集担当より

いかがでしたか。

ドローン技術研究所は、ドローン用のプロペラ・モータ開発だけでなく、量産化を見据えた開発を実施するような試作コンサルティングサービス等も実施しております。

興味のある方はこちらの企業HPをご覧ください。

 

関連記事一覧