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入居企業インタビュー#35 国立環境研究所 大西 悟さん

国立環境研究所
大西 悟さん

大学院修士課程を修了後、NPO法人の研究職としてキャリアをスタート。その後、大学に戻り博士課程を修了し、東日本大震災(3.11)を契機に国立環境研究所の福島地域協働研究拠点で働き始める。

Q1. 主な事業内容について教えてください。

国立環境研究所は、公害研究を目的に発足し、幅広い環境研究に総合的に取り組む公的な研究機関です。今年設立50周年を迎えました。気候変動や生物多様性の喪失といったグローバルな環境問題の解決に向け、IPCCなどの国際組織や政府への知見提供を行う一方、ローカルな地域課題にも積極的に取り組んでいます。

福島における活動として、震災以降、研究支援をしてきましたが、2016年に郡山近郊の三春町に拠点を設置しました。東日本大震災以降、除染や中間貯蔵施設の研究支援、放射性物質の動態評価などに注力し、特に、技術面でサポートしております。また、地域協働研究拠点と改名し、復興にむけて環境に配慮した地域づくりの支援にも本格的に取り組んでいます。

大熊町の復興まちづくりには、2019年ごろからかかわり始めました。震災で被災した地域の復興を支援するため、ゼロカーボンビジョンの策定や環境配慮型の産業拠点整備の推進を支援しています。福島県浜通り内では他にも、新地町駅前の開発協力も行い、その知見を活かして大熊町でも環境拠点づくりが出来るか模索をしています。

Q2. この事業を始めた理由はなんですか?

大学時代、日本橋のまちづくり団体の代表を務めた経験から「サステナブル」という概念が未来を切り開くと確信し、研究の道を選びました。新卒でNPOの研究職に就き、国連の環境部署と日本の自治体の連携事業をサポートしましたが、よりローカルな視点でもグローバルに活躍するため博士号の必要性を感じ、取得を目指しました。

大学で教鞭をとった経験も経ていますが、現職には、福島には自身の希望で赴き現在に至ります。私がプロジェクトで大切にしているのは、数字や事実に忠実であることです。情に流されやすい性格なこともあり、研究では結果を重視し、迷ったときは「何が正しいか」に立ち戻る姿勢を忘れないようにしています。

Q3. OICに入居したきっかけについて教えてください。

国立環境研究所の福島拠点のメディアがあり、その取材でOICを訪れたことが関わりのきっかけです。その後、町のお祭りやイベントなどへの参加や、仕事上のやり取りを通してOICとのかかわりが深くなり、入居をすることになりました。

入居前からOICの皆様には、お世話になっていました。日々動きのある町なので、ちょっとした変化を感じるのに、よい場となっています。

Q4. 普段の生活について教えてください。

郡山で、妻と娘と楽しく過ごしています。KUMA・PREで開催されるイベントやおおくま学園祭に家族と一緒に訪れ、大熊町で活躍される方との接点をたくさん作っています。

福島県以外では、主に中国四国地方での研究プロジェクトや自治体支援に協力する機会が増えています。今後発生するとされている南海トラフ地震の被害を抑えるために、これまでに福島で培った技術や経験を活かせるよう努めています。

Q5. おすすめしたい○○を教えてください。

今日着てきました、私が着用しているこの服です。これは私の妻が、大正時代の反物をリメイクして作ってくれたものです。

他にも、親子でペアの服も作ってくれました。生地が丈夫でとても気に入っています。

Q6. 今チャレンジしたいことはありますか?

学生時代にバスケットボール部だったことや、バスケアニメの「スラムダンク」が最近映画化されたこともあって、私ももう一度バスケットボールをやりたいなと思っています。

OICにもバスケゴールがあるので、先日は入居者に交じって遊んでいました。休日には、B2の福島ファイヤーボンズの試合を家族全員で観戦しに行くこともあります。 娘にはぜひバスケットボールに興味を持ってほしいです(笑)

Q7. 興味・関心のある分野について教えてください。

新しい世の中の動きや考え方をどんどん自分の生活に取り入れていきたいです。

最近であれば、ミニマリスト的な考え方と生成AIの両立について関心があります。

例えば、自然と創造を融合させる森林セラピーの進化版のようなものです。スマートフォンをもたずに過ごす価値をぼんやりと考えます。

自然の中には、いくら科学や人工知能が進化しても分からない世界が広がっていて、わからないことだらけで面白いと思っています。

Q8. あなたにとっての福島、大熊町とは?

どの立場に立って考えても、大熊町は楽しいところだと思います。ほかの町に比べて「一緒にこれから作っていこうぜ」という一体感があるからです。

また、私たちがここで行う研究が、今後様々な分野で役に立つだろう、という期待感もあり、楽しく働かせていただいています。

「研究者」と聞くと固い印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はその壁をなるべく小さくして、ぜひお気軽に交流させていただきたいと思っています。現在、ゼロカーボン施策に関連する座談会を継続的に開いていきます。是非お立ち寄りいただきたいです。

◆編集担当より

いかがでしたか。

以前OICでもゼロカーボンに関連するワークショップを開いていただき、筆者も参加しましたが、ゼロカーボンに詳しくなくても楽しめて、大熊町の未来を想像してワクワクできる、そんなイベントでした。機会がありましたら、ぜひ皆さんも参加してみてください!

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