入居企業インタビュー#25 株式会社LIFE AI 川端 瞭英さん
株式会社LIFE AI
川端 瞭英さん
琉球大学大学院、ネブラスカ大学リンカーン校にて遺伝学を研究。卒業後、アナリストやコンサルタントとしての経験を経て株式会社LIFE AIを設立。
Q1. 主な事業内容について教えてください。
食事管理をサポートするAIアプリと、スマート自販機を活用した食事提供サービスを開発しています。
AI、もしくはAIによるサポートを受けた栄養管理士やトレーナーが、ユーザーの食生活の改善をサポートすると同時に、将来的には自分にあった食事が直接自宅に届くような、メニュー考案から食事提供まで、一貫したお手軽なサービスを構築したいと思っています。
また、食品部分は業務用食品の卸売事業を行う東京の株式会社ショクカイさまと協業して構築しています。ショクカイさまも震災地域への復興に共感いただき、本プロジェクトがきっかけとなってOICに入居いただきました。 弊社のようなスタートアップと大企業が連携することで、新しいサービスを生み出し、大熊町を含む震災地域で、食を通して皆様の生活に貢献できると考えています。
現在、大熊町は人口が少ない地域です。ここでの実証を通して、将来的には全国にある人口減少が進む地域での食課題の解決を目指しており、自動調理器や無人販売機など、効率化の方法を取り入れることを重視した、新しい形のサービスモデルを作ることを意識しています。
大熊町のホテル「タイズヴェルデホテル」にもご協力いただき、無人食事提供のサービス実証機を設置しておりますので、ぜひ見にきてください!
Q2. 事業を始めたきっかけを教えてください。
私は元々微生物の遺伝子研究をしており、バイオデータがもっと社会で活用されたら面白いのになと思っておりました。
そのような中でたまたまご縁があり、研究者の起業を支援するプロジェクトである『OICクリーンテックチャレンジ(以下、OICCC)』に参加して事業計画を練り、それをきっかけに『Fukushima Tech Create』に挑戦して採択されたことで、徐々に福島での活動が増え、起業に至りました。
食を選択した理由としては、私自身が過去の辺境キャンパスでの生活や、大熊町でも痛感している課題であり、食の課題を手軽に解決できるサービスが欲しいと思ったからです。
食事指導はただ情報を与えれば良いというわけではなく、その人のライフスタイルに合った食生活を見つけていくというプロセスが重要です。これら全てを人間が行うことは難しいですが、AIを含む様々な技術の登場により、一人一人パーソナライズされた食事指導が可能になりつつあります。
また、ヒアリングを進める中で、特定のセグメントの方は食事自体にアクセスすることが難しく、食事指導だけでは完結しないということもわかってきました。
そこで、食事指導だけでなく、実際の食提供まで含めてサポートできる一貫したサービスを作りたいと考えました。
Q3. OICに入居したきっかけについて教えてください。
OICの起業支援プログラム『OICCC』に参加させていただいたことをきっかけに、大熊町で起業するための拠点としてOICに入居しました。
大熊町が魅力的な理由は、帰宅困難地域になりインフラがゼロの状態から、再び町を作り直さなければいけないという切実な課題がある中で、私たちのような新しい方法が受け入れられやすい土壌があると感じていることです。
さらに、町が文字通りゼロから復興していく様子は非常にワクワクします。
また、町の雰囲気が非常に良く、自然豊かで広々としているところも気に入っています。私は子育てはまだですが、教育環境も整っているので移住しやすい環境が整っていると思います。
Q4. 普段の生活について教えてください。
起業してからは仕事が趣味になっていますが、年に数回釣りなどを楽しんでいます。
仕事仲間や友人を誘って船釣りに行ったときはヒラメがたくさん釣れて最高でした!
Q5. おすすめしたい○○を教えてください。
坂下ダムと木戸ダムです。春は桜、秋は紅葉がとても綺麗でした。
移住当時大熊町民向けのレンタル電気自動車(通称:まあちゃんカー)を使用して行ってみたのですが、色々な人に声をかけられ地域の暖かさを感じました。
Q6. 今チャレンジしたいことはありますか?
これはまだ企画レベルですが、自動調理器&無人自販機を組み合わせた超省力飲食店舗を作って、人口の少ない地域で無理ない経営ができる飲食店を作ってみたいという気持ちがあります。
もう一つは、大熊で面白い会社を起こして、地方に移住して自然に囲まれ楽しく暮らしつつ、バリバリ働くようなカルチャーを作りたいと思っています。
そんな仲間を集めたいと思っており、移住サポーターも頑張っています。
Q7. あなたにとっての福島、大熊町とは?
私にとって大熊は「きっかけ」の場所です。
元々、遺伝子の研究を始めたきっかけは、震災による差別の話を聞いたことでした。しばらくはそのことについて忘れていましたがOICCCをきっかけにそれを思い出しました。
震災で一度は「人」や「産業」がなくなったこの町を、私たちは捨て去るのではなく、あえてこの地で生きることを選択しました。この地から全国さらには世界に誇れる『大熊モデル』を生み出し、人に寄り添う未来の社会を作っていきます。
◆編集担当より
いかがでしたか。
今回は川端さんの起業背景や大熊町への思いについて、詳細にお話いただきました。ホテルでの実証実験など、具体的な事業が行われ始めています。今後これらの事業がどのように展開されているのか、非常に楽しみです!