入居企業インタビュー#12 Hubbit株式会社 臼井 貴紀さん
Hubbit株式会社
臼井 貴紀さん
早稲田大学卒、ヤフー株式会社出身。Hubbit株式会社代表取締役かつ藤田医科大学客員教員。
Q1. 主な事業内容について教えてください。
シニア向けのアプリケーション「ケアびー」を開発しています。歳を重ねると誰しもが経験する認知機能や身体機能の低下をテクノロジーで解決するタブレット型のコミュニケーションツールです。
高齢になると、そもそもデジタルツールを利用した経験が無かったり、スマホが小さくて文字が見えなくなってきたりしますが、「ケアびー」はそのような方でもお使いいただけます。
アプリケーションの機能は、1人1人の課題や身体的に出来ないことに合わせてカスタマイズされます。例えば、耳が聞こえにくくなっている方にはビデオ通話を行う際に字幕を表示することができたり、予定を忘れがちな方でしたらリマインドを細かく設定したりできます。
通常の「ケアびー」はこのような一般生活を補助するツールなのですが、大熊町では一般生活の補助に加えて医療の要素を加えたアプリケーションを町と連携して開発し、実証に取り組んでいます。
具体的には、オンライン診療を受けることができたり、病気の予防として日頃から血圧や体重などを管理させていただいたり、さらには服薬指導や服薬の確認もすることができます。
Q2. 大熊町で事業を始めることになったきっかけを教えてください。
大熊町が医療や介護に課題を持っていることが大きな理由です。
オンラインツールの「ケアびー」を導入すると、診療所の診察時間以外でも診療や服薬指導が受けられて、後日薬が届くのを待つだけという状態にできます。現時点で大熊町に戻ってこられる方は元気な方が大半ですが、どのような方でも大熊町で過ごせるよう、起こりうる課題を解決したいです。
このツールの初めての実証実験が大熊町となるので、大熊町でいいお声を頂ければ他県にも展開していく予定です。
Q3. OICをどのように活用していますか?
オフィスとして活用しています。
それぞれの社員が自分の拠点と大熊を行き来する形になるのでOICの近くに大きな家を借りて、みんなで住んでいます。
Q4. 普段の生活について教えてください。
普段はほぼ仕事をしています。それ以外であれば運動も生活に取り入れるようにしており、有名なトレーナーのAYAさんという方のジムに通い、クロスフィットを行っています。
“何かしらのボディービルダーのチャンピオン”など結果を出している人がトレーナーを務めており、プロの人に教えてもらえるところが良いところです。
また、心拍数などを測定する機械をつけて、トレーニングしている人の「きつさ度合い」が測られるんですね。そのデータをもとにしてトレーニングの負荷の具合も変化するので、丁度良く追い込むことができておすすめです。
Q5. おすすめしたい○○を教えてください。
弊社のサービス「ケアびー」をおすすめさせてください(笑)
耳が聞こえにくくなったり、認知機能が低下したりするとご家族とコミュニケーションをとるのも大変になります。ですが、「ケアびー」があればその方ができなくなった部分を補助することができるので、家族の負担を減らしながらコミュニケーションを取ることができます。
実際にその事例っていうのは今かなり増えていて、「ケアびーがないと困る」という声をたくさんいただけるようになりました。歳を重ねて普通のスマートフォンが不便に感じるようになったときにはぜひケアびーをご検討いただけたらと思います。
Q6. 今チャレンジしたいことはありますか?
大熊町で開発したプロダクトを全国に広めた後は海外に持っていきたいと考えています。
過疎地とか医療介護という分野だとその国の保険制度に依存するので、老化や認知症といった世界共通の分野でアプリケーションの開発を進めていくことで、今後世界に展開しやすくなるのかなと思います。
そういった海外の市場もみつつ、こちらでも販売できるような製品にしていきたいです。
Q7. 興味・関心のある分野について教えてください。
2つあります。
1つは、人が死をどのような気持ちで迎えるか、ということをよく考えますね。そのためこの事業を立ち上げたという背景もあります。人生の「楽しい」ピークが今だと感じた状態で死を迎えたい。なので「現在」が一番楽しいという生活にはしたくないなと思っています。
高齢者になったとしても「私なんて」とか、「みんなに迷惑かけている」というような思考がなくなってほしい。それをどうすれば実現できるのかなっていうのは常日頃から考えているところです。
もう1つは完全にプライベートですがワインが好きです。まだ詳しくはないですが少しずつ勉強しています。私が最初に受けたお酒の資格のテストはとても簡単でしたが、楽しさはあるのでぜひおすすめします。
Q8. あなたにとっての福島、大熊町とは?
実用化開発でたくさんお世話になっているので、開発拠点として「ここから始まる。」場所ですね。
ここからどこまで大きくなるのかっていうのが私達の最大のミッションなので、大熊から福島へ、福島から全国へ、全国から世界へとどこまでいけるのか?という勝負の場所です。
12月から「ケアびー」を大熊町に住む65歳以上の方に配布しているので、ぜひ使用していただいて、感想を聞かせていただけたら嬉しいです。
◆編集担当より
いかがでしたか。
ツールを利用することで、歳をとっても楽しく生活できる、家族とコミュニケーションを簡単に取ることができるということは、とても素敵なことですね。
今回のインタビューでお話を伺ったことで、筆者も、祖父や祖母、家族に「ケアびー」を勧めてみようと感じました。
ぜひ皆さまもチェックしてみてください!