入居企業インタビュー#09 Space Connect株式会社 西田 佳史さん
Space Connect株式会社 代表取締役兼CEO 西田 佳史さん
1997年大阪府生まれ。「トビタテ!留学JAPAN by文部科学省」9期生。水産業界の会社に就職後、2022年にSpace Connectを設立。
Q1. 主な事業内容について教えてください。
当社は複数の事業を展開しておりますが、主力事業は航空・宇宙領域に特化した人材事業です。
現在の航空・宇宙業界では、企業側には「優秀な人材を採用し、事業をスケールさせたい」という強いニーズが存在する一方で、転職者側にも「宇宙業界へ挑戦したい」という高い関心があります。
しかし実態としては、双方に強いニーズが存在するにも関わらず、採用・転職が円滑に成立していないケースが多く見られます。背景として、宇宙業界は高度専門領域であり、企業側が即戦力性を重視する傾向が強いため、「転職したい人は多いが、実際には採用に至らない」という構造的なミスマッチが継続しています。
そのような中で、当社は宇宙ビジネス情報メディア「SPACE CONNECT」を通じて業界理解を促進し、マッチングプラットフォーム「スペジョブ」を活用して、転職希望者と企業を接続する事業を展開しております。特に近年は、業界拡大に伴いポテンシャル採用の必要性が高まっています。

しかし、企業側に「その人材が将来的に活躍できるか」を見極めるための情報や経験が十分に蓄積されていないケースも少なくありません。
当社は、単純な求人紹介ではなく、企業・市場・事業フェーズ・経営環境まで含めた観点から、人材と企業双方を分析しています。例えば、スタートアップ企業においては、優れた技術力のみで事業が成立するわけではありません。適切な市場への参入タイミングや顧客獲得状況、資金調達環境などが事業継続性に大きく影響します。仮にキャッシュフローが悪化すれば、組織運営や労働環境にも影響が及びます。
当社は、そのような事業環境や組織状況も踏まえた上で、企業側の実態理解と人材側の適性評価を行っております。また、人材側に対しても、宇宙業界で求められる考え方や期待値を事前に共有することで、入社後のミスマッチ低減を図っています。
要するに、当社の本質的な強みは「期待値調整」にあります。
企業には事業フェーズや組織状況を踏まえた採用支援を行い、転職者には業界理解や働く上での前提認識を提供することで、双方にとって納得感の高いマッチングを実現しています。
この「期待値調整」をコアアセットとしているため、宇宙領域以外にも、資格を活用したキャリア形成支援サービス「資格会議」を展開しております。「資格会議」では、資格取得者の口コミや実体験をベースに、転職・キャリア選択に必要な情報を提供しております。
Q2. 起業したきっかけについて教えてください。
起業した理由としては、単純に「経営者になりたい」という思いよりも、自分なりに社会や国家へ貢献したいという意識が強くあったことが大きいです。
私は日本で生まれ育ち、多くの機会を与えてもらったと感じています。そのため、成人して以降、「自分にできる形で日本に貢献したい」と考えるようになりました。その中で、自分の強みを最も活かせる手段が起業だった、という感覚があります。
私は、文化的背景から言語構造を読み解くことや、複雑な物事を徹底的に分解し、再構築することを得意としています。これは言語だけではなく、宇宙業界におけるロケットや衛星、事業構造、組織の力学などについても同様です。単に技術や市場を表面的に見るのではなく、「なぜその構造になっているのか」「どのような意思決定が背景にあるのか」といった部分まで掘り下げ、複数の変数に時間軸を加えながら全体像を整理し、戦略に落とし込むことを強みとしています。
また、現代社会は、人間同士の自然言語だけでなく、ソフトウェアやAIなどの人工言語によっても社会が構築される時代になっています。その中で、言語構造や文脈理解に強みを持つ人間は、今後さらに重要性が高まると考えています。
宇宙業界を選んだ理由についても、産業として大きな可能性を持つ一方、人材・情報・組織理解などの観点では、まだ未整備な部分が多いと感じたためです。だからこそ、自分の強みを活かして、人と組織、技術と事業、国内と海外を適切につなぎ、業界全体の発展に貢献できるのではないかと考え、現在の事業を立ち上げました。
Q3. OICをどのように活用していますか?
OICは、多様な企業や行政、研究機関などが集まり、情報が自然と集積する場所であるため、弊社にとって重要な活動拠点の1つになっています。現在は社員1名が常駐し、情報収集や事業推進の拠点として活用しております。
より具体的に申し上げると、ロケット領域では、技術開発だけでなく、地域との関係構築や、継続的に実証を行える環境整備が重要になります。
その点で、福島県は新産業や実証実験との親和性が高く、大きな可能性を持つ地域だと感じています。
また、福島は震災を経験した地域でもありますが、だからこそ現在は、新しい産業や挑戦を受け入れながら、未来に向けた地域づくりを進めている印象があります。
私自身、日本に対して強い恩義を感じていることもあり、そのような福島の地で事業活動を行い、産業や雇用、情報流通の面から少しでも前向きな価値を生み出していきたいと考えています。
加えて、弊社メンバーで定期的に集まり、情報交換や戦略のブラッシュアップを行う際にも、OICの環境を活用させていただいております。
県内企業との打ち合わせや移動面でも利便性が高く、弊社としては「人・情報・産業が集まるハブ」としてOICを活用しています。
Q4. おすすめしたい○○を教えてください。
食でいうと、郡山市にある「凛々亭」のネギトロまぜそばはよく食べています。ジャンルとしては少し変化球ではあるのですが、完成度が高く、定期的に食べたくなる味ですね。
あとは、会津の「田季野」のわっぱめしも好きです。福島は食文化の幅が広く、地域ごとに特色がかなり違うので、そういった点も面白いと感じています。
作品でいうと、『アイシールド21』や『HUNTER×HUNTER』が好きですね。
弊社の打ち合わせでも、漫画やアニメの話は意外とよく出ます。単なる娯楽というより、「組織」「戦略」「心理戦」「成長構造」など、ビジネスにも通じる要素が多いと感じているためです。
特に『HUNTER×HUNTER』は、能力や戦略だけでなく、制約条件やリスク設計まで含めて描かれているので、意思決定の考え方として参考になる部分も多いと感じています。
Q5. 普段はどのような生活をしていますか?
基本的には、かなり仕事中心の生活をしています。
ただ、自分の中では「仕事」と「プライベート」が明確に分かれている感覚はあまりなく、興味の延長線上に事業がある、という感覚に近いです。
そのため、常に何かを調べたり、考えたり、議論したりしていることが多いですね。
一方で、外に頻繁に出歩くタイプではなく、どちらかというとインドア寄りです。家にこもって本を読んだり、漫画を読んだり、情報収集をしたりしている時間が多いと思います。
また、趣味として音楽制作もしており、考えを整理したい時や気分転換をしたい時に触ることがあります。
経営についても、「オン・オフを切り替える」というよりは、日常の中で常に思考を積み重ね続けている感覚に近いですね。
Q6. 今後チャレンジしたいことはありますか?
今後最もチャレンジしたいことは、海外展開です。
これまで留学などを通じて海外に触れる機会は比較的多くありましたが、ビジネスとして本格的に海外市場で戦い、大きな成果を出した経験はまだ十分ではありません。
一方で、今後本当に強い企業を作るためには、日本国内だけで取引規模を拡大するだけでは限界があるとも感じています。
特に宇宙産業は、最初からグローバル競争を前提とした市場であり、海外企業と正面から戦える組織を作らなければ、中長期的な競争力は生まれません。
そのため、弊社としても、海外のトップ企業と競争できる組織作りを進めながら、日本の宇宙産業そのものが世界でも戦える水準まで成長することに貢献していきたいと考えています。
また、単純に海外市場へ進出するというよりは、日本の技術・人材・産業構造の強みを整理し、グローバル市場の中でどのように価値を発揮できるかを考え続けることが重要だと思っています。
長期的には、日本発で世界市場に影響を与えられる事業を作ることを目指しています。
Q7. どのような分野に興味・関心がありますか?
宇宙領域はもちろんですが、マンガやアニメなどのコンテンツ産業にも強い関心があります。
実際に、独学でゲーム制作をしたり、裏で小説を書いたりすることもあります。コンテンツ産業は単なる娯楽ではなく、人の価値観や文化、国家のイメージ形成にも大きな影響を与える産業だと考えています。
また、私はスモールビジネス全般が好きで、大企業と真正面から同じ土俵で戦うのではなく、構造的な隙間や弱点を見つけ、自分たちなりの立ち位置を作っていくような戦略に美しさを感じています。
根本的には、「次の若い世代に何を残せるか」というテーマへの関心が強いです。
そのための手段として、宇宙産業であったり、マンガ・アニメなどのコンテンツ産業があると考えています。
特に宇宙産業については、今後の日本の基盤産業の1つになり得る可能性を感じており、だからこそ、この領域に賭けてみたいという思いで取り組んでいます。
Q7. あなたにとっての福島県、大熊町とは
大熊町には住み始めて3年ほどになりますが、本当に好きな町です。
震災を経て、地域として再び前に進もうとしている渦中にあり、その中で弊社として宇宙事業やその他の活動を通じて関われていることには大きな価値を感じています。
単純に「場所を借りている」という感覚ではなく、地域と一緒に新しい産業や流れを作っていく当事者の一員でありたいと思っています。
今後も、大熊町と事業を通じて良いシナジーを生み出しながら、少しでも地域や産業に貢献していければと考えています。
◆編集担当より
いかがでしたか。
OICには同社の社員が常駐しています。宇宙業界の仕事に興味がある方や、宇宙業界についての情報を知りたい方、宇宙業界については詳しくはないが、気になる方も、ぜひ声をかけてみてください!
