入居企業インタビュー#53 株式会社Cell-En さん
今回の入居企業インタビューでは、「微生物発電」という新しい技術に取り組むスタートアップ企業、株式会社Cell-En(セレン)のCOO・山口直美さんにお話を伺いました。地域の土壌や農業廃棄物を活用したエネルギーづくりへの挑戦や、大熊町への想いについてご紹介します。
Q1. 主な事業内容を教えてください
株式会社Cell-Enは、「微生物発電」の社会実装に向けた研究開発を行っているスタートアップ企業です。2023年に設立し、現在は微生物発電を活用した発電装置の開発・製造に取り組んでいます。
微生物発電とは、土壌の中にいる微生物が有機物を分解する際に生み出す“電子”を、電極でとらえて電気に変換する技術です。微生物の活性を維持することで、発電を継続できる点に特徴があります。
弊社の発電装置では、その地域の土壌から採取した微生物と、地域で発生する農業・食品廃棄物を栄養分、つまり燃料として活用しています。例えば、大熊町の企業からご提供いただいたトマトやいちごのツルなども燃料として活用できます。
地域にある土壌や廃棄物を使って電気を生み出せるため、「地域で生まれたエネルギーを地域で使う」という“地産地消の電気”を目指せるのが大きな特徴です。
現在は、1年間メンテナンスフリーで使える装置を製作しています。災害時や電気が届きにくい場所でも活用できる、平時と災害時を分けずに継続利用できる「モードフリー電源」として、地域に役立てていきたいと考えています。

Q2. OICの活用方法は?
現在は、福島県内での実証実験を進めるための拠点としてOICを活用しています。
最初はシェアスペースからスタートしましたが、2026年2月には大熊町との連携協定も締結させていただきました。今後は、事業や検証の進展に合わせて、個室の利用も希望しています。成長段階に応じて柔軟に活用できるところは、OICの大きな魅力だと感じています。
また、ランチ交流会やセミナーにも積極的に参加しており、人とのつながりや新しいアイデアを得る機会にもなっています。OICは、単なるオフィスではなく、さまざまな人と出会いながら事業の可能性を広げていける場所だと感じています。
特に、発電装置の燃料となる農業廃棄物については、OIC入居企業とのつながりを通じて、地元企業からご提供いただきながら検証を進めていきたいと考えています。
Q3. 今後チャレンジしたいことは?
個人的にはまずは筋力トレーニングです(笑)。
なかなか続かないのですが、これからさらに忙しくなることを見据えて、“戦える体”を作りたいと思っています。スタートアップは体力勝負です。
仕事面では、屋外での実証実験を福島県内のさまざまな場所で本格化させていきたいです。大熊町で実際に装置を稼働させ、地域での地産地消エネルギーの可能性を検証していきたいと考えています。大熊町で福島モデルを確立した後に、日本全国、世界に展開していく予定です。
また最近は、高校生や大学生向けに講演をする機会も増えていて、次世代との関わりにも強く関心を持っています。「自分たちの街は自分たちでつくる」という思いを持つ学生たちと一緒に、新しいことを生み出していけたら嬉しいですね。
将来的には、実証実験の現場を見学できるような形にして、スタートアップが挑戦している姿をもっと外へ発信していきたいと思っています
Q4. おすすめしたいコンテンツはありますか?
おすすめしたいのは、上野にある「国立西洋美術館」です。
企画展がない時は比較的ゆったり鑑賞できるので、自分のペースでのんびり過ごせるところが好きなんです。印象派などの落ち着いた絵をぼーっと見ていると、すごく心が休まります。
実は「博物館学芸員」の資格も持っていて、忙しい時ほど美術館や博物館に行ってリフレッシュしています。
Q5. あなたにとっての福島、大熊町
福島県は、幼少期を過ごした“故郷”のような場所です。父の転勤の関係で、小学校時代に福島で暮らしていた時期があり、今でもどこか懐かしさを感じています。
大熊町については、海沿いの穏やかな風景も含めて、どこか温かさを感じる場所ですね。
今の大熊町には、新しいことに挑戦する人や企業が集まっていて、「一緒に街づくりをしていける土壌」があると感じています。素晴らしい取り組みもたくさん始まっていて、ここからまた新しい産業や文化が育っていくのではないかと期待しています。Cell-Enもぜひそこに参加させていただきたいと思っています。
Q6. 最後に一言
私たちは大熊町出身の企業ではありませんが、共に「地域を盛り上げる存在」でありたいと思っています。
大熊町の土壌にいる微生物や、地域で出た農業廃棄物を活用して、災害時にも止まらない“地産地消のエネルギー”をつくること。それによって、地域の皆さんに安心や安全を届けていくことが、私たちの目指していることです。
この取り組みから生まれる電気を、「大熊町のエネルギー」だと思っていただけたら嬉しいです。
これからもOICや地域のイベントなどにも積極的に参加して、大熊町の皆さまとも少しずつつながりを増やしていけたらと思っています。

〜編集後記〜
土の中の微生物や農業廃棄物が、未来のエネルギーにつながっていく-そんな新しい挑戦が大熊町でも始まっています。地域から生まれる次世代のエネルギーに、今後も注目していきたいです!