入居企業インタビュー#63 会津発酵珈琲株式会社 さん
今回の入居企業インタビューでは、福島県の発酵技術を活かした“発酵珈琲”に取り組む、会津発酵珈琲株式会社の藤原多聞さんにお話を伺いました。事業への思いや、大熊町との関わりについてご紹介します。

Q1. 主な事業内容を教えてください
福島県の日本酒づくりの技術を応用した「発酵珈琲」の研究開発に取り組んでいます。
甘酒や桃果汁、桜などを抽出した液体に珈琲の生豆を漬け込み、発酵の力で香りや甘み、旨みを引き出すことが特徴です。福島県ハイテクプラザとの共同研究や特許出願にも取り組み、発酵珈琲の可能性を探っています。
本事業の軸にあるのが、「オール福島」での珈琲づくりです。 浜通りの大熊町を本社拠点とし、会津では研究・生産を。中通りではIoTセンサーを活用したコーヒーノキ(コーヒーの木)の栽培に挑戦しています。
将来的には苗木の栽培から収穫、加工までを福島県内で完結させることが目標です。

Q2. 大熊町で事業を始めようと思ったきっかけや、OICの活用方法は?
イノベーション・コースト構想関連のプログラムに採択されたことをきっかけに、大熊インキュベーションセンター(OIC)に入居し、大熊町で事業を始めました。
実は、福島に対しては以前から強い思いがありました。 過去にボランティアとして福島に関わった経験があり、「いつかビジネスとして福島に関わりたい」という気持ちを、15年ほど持ち続けていたんです。
その思いをどのような形で事業にできるかを考える中で “人と人をつなげる力”を持つ珈琲を軸にしようと思うようになりました。県外から外貨を稼ぎ、福島の潜在能力を活かした経済循環を生み出したい。そんな思いから、大熊町を経営の拠点として起業しました。
OICは、「人とつながる場所」としてとても大切にしています。現在も毎月4〜5日ほど利用していて、オンラインではなく、実際に足を運んで人と話すことを大事にしています。
起業初期には、資金調達の相談に乗っていただいたり、困った時に人をつないでもらったり、本当にたくさん助けてもらいました。また、OICでの何気ない会話から、新しいアイデアが生まれたり、他社とのつながりができたりもしています。
やっぱり、実際に人と会ってコミュニケーションすることで生まれるものは大きいですね。

Q3. 今後チャレンジしたいことは?
福島県への移住を考えています。
今は東京と福島を頻繁に行き来する生活をしているのですが、移動の負担も大きいので、いずれは家族と一緒に県内へ移住できたらと思っています。
実はこれまでは仕事で福島を訪れることが多く、 福島で丸1日しっかり休んだことがなくて(笑)。
せっかく自然豊かな場所なので、今後は観光をしたり、ゆっくり過ごす時間もつくりたいです。「北の国から」に出てくるような山小屋を自分で作って、自然の中でのんびり暮らすことにも憧れています。

Q4. あなたにとっての福島、大熊町
大熊町は、まだ“ゼロ”の状態に近い場所だと思っています。
でも、それをネガティブには感じていなくて、「これからゼロから上に向かっていく過程を体験できる」こと自体が、この町の大きな魅力だと思っています。
スーパーやコンビニが一つできるだけでも町の話題になるような、“今しかない体験”ができる場所なんですよね。
今の大熊町には、「0から1」を生み出すことを楽しめる人たちがたくさん集まっていると感じています。寝袋や車中泊すら面白がれるような開拓精神を持った人も多くて、そういう人たちと、大企業のように「1を100にする」ことが得意な人たちが交わることで、新しい街ができていくんだろうなと感じています。
僕にとって大熊町は、不便さも含めて、「新しい未来を自分たちの手でつくっていく過程」を楽しめる場所です。

Q5. 最後に一言
大熊町は、すぐに何かが大きく変わる場所ではないかもしれません。
でも、どうせ同じ時間を過ごすなら、やっぱり暮らしを楽しみたいですよね。
ゼロから少しずつプラスに向かっていくこの町で、みんなで笑顔で過ごしていけたらいいなと思っています。

〜編集後記〜
いかがでしたでしょうか。甘酒や桃、桜など、“福島らしさ”を活かした珈琲づくりのお話に、取材中もワクワクが止まりませんでした。
「人と人をつなげる珈琲」という言葉の通り、これからどんな出会いや景色が生まれていくのか、とても楽しみです。