入居企業インタビュー#55 株式会社haccoba さん
今回は、入居企業インタビュー第55社目として、株式会社haccoba(ハッコウバ)をご紹介します。代表取締役の佐藤太亮さんにお話を伺いました。福島・浜通りを拠点に、「クラフトサケ」という新しいジャンルのお酒づくりに挑戦するhaccoba。お酒だけでなく、地域文化や場づくりにも取り組む、その活動についてお聞きしました。
Q1. 主な事業内容を教えてください
haccobaでは、福島県南相馬市小高区と浪江町を拠点に、「クラフトサケ」の製造を行っています。
日本では現在、新しく日本酒の酒蔵をつくることが難しいため、僕たちは「クラフトサケ」という新しいジャンルでお酒づくりをしています。
定番商品としては、ビールに使われるホップとお米を一緒に発酵させた「はなうたホップス」があります。これまでに90種類以上のレシピでお酒をつくってきました。
また、自分たちだけでなく、全国の同じタイミングで立ち上がった仲間たちと一緒に「クラフトサケブリュワリー協会」を立ち上げ、新しい市場づくりにも取り組んでいます。業界全体を盛り上げながら、「クラフトサケ」という文化そのものを広げていきたいと思っています。
さらに、震災後に無人駅となったJR小高駅では、JR東日本さんと協業して「haccoba 小高駅舎醸造所 &PUBLIC MARKE」を運営しています。醸造だけでなく、お土産販売や待合スペース、イベントやワークショップの場としても活用し、“町の入り口に灯りをつけ続ける”ような場所を目指しています。
地域のお祭りが減ってしまったこともあり、自分たちで「YoiYoi」というお祭りも開催しています。お酒づくりだけでなく、地域文化そのものを活発にしていきたいという思いがあります。
また、将来的にはベルギーや東京での醸造所展開も計画していて、日本の発酵文化を世界へ発信していきたいと考えています。

Q2. OICの活用方法は?
OICについては、オフィスとして使うというより、「人とのつながり」や「情報収集」の面で活用しています。
普段は小高や浪江で動いていることが多いため、日常的にOICで仕事をしているわけではないのですが、Slackで流れてくる情報を見たり、スタッフの皆さんに相談したりと、ソフト面で助けてもらっています。
また、文化祭などのイベントで声をかけてもらって参加することもあり、コミュニティの一員として関わらせてもらっています。
物理的な場所というより、「人とのコミュニケーションの基盤」として活用している感覚に近いですね。
Q3. 今後チャレンジしたいことは?
仕事以外だと、まずは馬に乗れるようになりたいです!
相双地域は野馬追もありますし、馬がすごく身近な地域なんですよね。周りにも馬を飼っている方や、馬を活用した活動をしている移住者の方がいるので、せっかくなら乗馬にも挑戦してみたいと思っています。
あと、サーフィンにも挑戦したいです。浜通りの海は波がすごく良くて、世界大会も開かれていたくらいなんです。しかもあまり混んでいないので、本当に贅沢な環境だと思います。
近くには有名なサーフボード職人の方もいるので、そういう環境を楽しみながら暮らしていきたいですね。
Q4. おすすめしたいコンテンツはありますか?
まずは、やっぱり自分たちのクラフトサケです(笑)。
それ以外だと、東京・池尻大橋にある「髙崎のおかん」というお店がおすすめです。双葉町出身の方がやっているお店で、熱燗と料理のペアリングを楽しめる、とても面白いお店なんです。
最近は、コーヒーやナチュラルワインが好きな若い世代の間でも「熱燗」が注目されていると感じています。
温かいお酒は体にも優しく、食事にも合わせやすいんですよね。「髙崎のおかん」では、昔ながらの熱燗とは違う、“ニューウェーブの熱燗”みたいな体験ができるので、ぜひ行ってみてほしいです。

Q5. あなたにとっての福島、大熊町
このエリアは、一度避難指示区域になった場所だからこそ、「ゼロから地域の暮らしや文化をもう一度つくっていける」という、他にはない魅力があると思っています。
この地域は「これからの社会は、こういう価値観や世界観の方が良いんじゃないか?」という問いを実践できる場所だと思うんです。
そういう新しい価値観を世の中に投げかけたい起業家にとって、この地域は本当に面白い場所ですし、「ここでやらずしてどこでやるんだ」という感覚があります。
単なる事業拠点ではなく、新しい社会や文化を、自分たちの手でつくっていける場所だと思っています。

Q6. 大熊町の方々に伝えたいこと
震災の影響もあって、浜通りでは酒蔵がかなり少なくなってしまいました。
だからこそ、自分たちのお酒を、広くこの地域の“地酒”として大熊町の皆さんにも愛してもらえるように頑張っていきたいと思っています。
また、現在haccobaのお酒は小高や浪江では販売いただいていますが、大熊町ではまだ販売場所がありません。
もし「置いてみたい」「販売してみたい」というお店や場所があれば、ぜひ声をかけてもらえたら嬉しいです。

〜編集後記〜
取材を通して印象的だったのは、「お酒をつくる」だけではなく、「文化や場をつくる」という視点でした。新しい発酵文化への挑戦と、地域に灯りをともすような活動が、これから浜通りでどんな景色を生み出していくのか楽しみです。