入居企業インタビュー#02 Ichido株式会社 渡邉優翔さん
Ichido株式会社
代表取締役 渡邉 優翔
2000年11月に福島県須賀川市に生まれる。大桑原つつじ園26代目当主。
21歳でIchido社を創業、富岡町に事業所を持つ。
Q1. 事業内容や活動内容について教えてください。
「花からお酒を作る」ということをしています。
一般的には、花びらが入っているお酒を思い浮かべると思いますが、僕たちは花に付着している花酵母という酵母菌の採取・抽出を行い、発酵させることでお酒を作ります。
花酵母からは醸造酒、蒸留酒と、とても幅広い種類のお酒ができます。我々の会社の現状としては2月にどぶろくの試作品ができて、5月末からは焼酎やリキュールを作っています。商品の主軸はリキュールであり、低アルコールのクラフトカクテルです。
現在お酒を製造している最中で、これから味見段階に入るのですが、酵母を採取した花の花言葉の意味を基に、お酒の味を決定していきます。
つつじの場合は「恋の喜び」「初恋」など恋に関する花言葉なので、それを想像して味に落とし込みます。
Q2. この事業を行うきっかけとなったことはなんでしょうか。
家業のつつじ園を子どもの頃から手伝ってきた中で、花は何百年以上も前から鑑賞や贈答用としてよく用いられてきた一方で、意外と手を出すにはハードルが少し高かったり、鑑賞以上の展開がなかったりすると感じていて、そういったところに課題感を持ちました。
そこで、もっと花の新しい可能性がないか探していた時に、たまたま花から酵母菌が採取できるということを3年前に知って、もしかしたらこれを展開すると面白そうだなと思ったのがきっかけです。
いわゆる「花ではない花を贈る文化」を生み出すことによって、新しい花の可能性を見出すことができると考えました。
Q3. OICをどのように活用していますか?
大熊には人がいるので、人とのつながりや、情報の動きといった面ですごく活用させていただいています。
センター長の直井さんやインキュベーションマネージャーの黒田さんには、補助金等の情報をいただいたり、事業の壁打ちをしていただいたりと、いつもサポートしていただいています。
Q4. 普段はどのような生活をしていますか?
会社の経営関係の作業や、お酒を作るための構想を描く作業、事務的な作業を丸一日することもありますし、情報収集をしたりお酒も作るために町外へ出ることも多いです。
お酒の仕込みをしているときは24時間監視しないといけないので、作業しながら定期的に見に行きます。あとは原料となる花酵母の採取もしますね。
Q5. おすすめしたい○○を教えてください。
十川食堂の麻婆豆腐です。大熊町に来る度、昼、夜、次の日の夜、という感じで毎回食べに行っています。
通常より辛くアレンジしてもらっているんですけど、友達がそれを初めて食べた時に辛すぎて驚いていました。笑
Q6. 関心のあることや分野はなんですか?
広告業にすごく興味があります。
僕たちの会社は、現状、まだ酒蔵と連携してお酒を製造している状態なのでマーケティング会社でしかないと思っていて。
段階として、まずお酒を販売して、どういう風に売れるかという仕組みを作ることで、マーケティング会社や広告代理店のようになり、5年目からは自社でお酒を製造できるようになると考えています。
広告やマーケティングに力を入れて、地方で作ったお酒を、都会でも売れるようにしていきたいです。
Q7. 今チャレンジしたいことを教えて下さい。
「緑=お金にならない」という風潮を打破すると同時に、身近に花が咲いているような場所を点々と作っていければ面白いなと個人的に強く思っています。
僕たちの会社として、花酵母は花の終わりかけの状態、いわゆるロスになった花から採取した方が成功率が高いというところからヒントを得て、この事業の展開に至りました。つまり生産過程の中の1割のロスを解決したくて、お酒というところに辿りついたという背景があって。
なので、その売上の一部を花業界のために寄付して花を増やす活動をしていきたいなと。もう少し言うと、花の植樹や、生産者のためになるようなプロジェクトにお酒の事業と同時並行で挑戦して、花業界を盛り上げていきたいです。
Q8. 渡邉さんにとっての福島、大熊町とは?
第一に、自分の生まれ故郷であるので、福島が好きです。
これまで、「花が咲いていない場所に花を咲かせたい」という純粋な想いで関わってきたので、この場所がいつかたくさんの花で溢れる場所になったら良いなと思っています。
大熊町は、地域資源が豊富に存在する、ポテンシャルが高い地域だなという印象です。こういった地域資源を上手く利用して、自分ができる限りのことに挑戦していきたいです。みなさんと一緒に花を増やす活動をしていけたら良いなと思っています。
◆編集担当より
いかがでしたか。
実は、”様々な地域の”花から採取される『花酵母』からお酒を作るという事業は、日本で唯一の事業。
福島県だけでなく、他の地域でも注目され始めています。
普段はよく冗談を言ったりおどけたりする渡邉さんですが、花業界のことを真剣に想って活動しているということが伝わってきたインタビューでした。
会社を設立した理由や、花酵母からお酒を作る難しさなど、この記事には書ききれなかったことも多くあるので、OICで会ったときにはぜひ、話を聞いてみて下さい。
Ichido社は今後、クラウドファンディングも行うとのことです。OICのTwitterやFacebookでも情報を発信する予定なので、ぜひチェックをお願いします!