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入居企業インタビュー#07 双葉郡地域観光研究協会 山根 辰洋さん

一般社団法人双葉郡地域観光研究協会(F-ATRAs)
代表理事 山根 辰洋

2013年から双葉町の復興支援員として活躍した後、2016年に双葉町民と結婚して双葉町民となる。2019年に法人設立。

Q1. どのような経緯で会社を設立されたのでしょうか。

私が双葉町に関わるようになって10年ほどになるのですが、会社を設立する以前の6年間は復興支援員事業など、町の事業に関わってきました。

しかし、町が避難解除され、家族と一緒に双葉町に住むと考えたときに、「何か自分でも事業を作らないとな」という思いから会社を設立しました。

元々インバウンドの観光事業を通じて地域のリブランディングをしたいという想いがスタートでしたが、起業後すぐにコロナ禍となってしまったので、行政コンサルのような仕事を主軸としてきました。

今はコロナが収束しつつある中、インバウンド観光事業に再度着手し始めています。

Q2. 現在の事業内容について教えてください。

事業内容は観光・まちづくりの分野です。

現在はBtoG(企業 対 Goverment:政府)の事業が多く、公募されているものの中から自社の能力で価値が見出せる事業に提案をしています。

例えば、去年はふくしま12市町村移住支援センターの「移住ツアー事業」を運営しました。また、直近だと観光庁のインバウンド事業に採択され、浜通りにインバウンドの旅行者を増やす事業に着手しています。

他にも、浪江町から観光情報発信の事業を受託していて、ウェブサイト制作とそのコンテンツ作りをしながら、地域への誘客ツアーを作り、実際に足を運んでもらえるようなプロモーション事業を担わせてもらっています。

ウェブサイト・映像制作などのクリエイティブ業とデジタルマーケティング等を行う広告業に旅行業を組み合わせるというような、自社の持ちうる全ての知見を投入して事業に取り組んでいます。

ビジネスの型が決まっている会社ではなく、ツアー×コンサルティング×広告を組み合わせて事業を作っています。

元々私は映像制作会社の出身なので、どちらかといえばクリエイティブ業を主軸にしながら、コンサルティングや広告業が後からくっついてきているというイメージですね。

Q3. 今後はどのように事業を展開する予定ですか?

今後は、積み重ねてきたBtoGの実績や経験・成果を、他の事業や地域のために展開するということに注力していきたいと思っています。

例えば、地域の「ビジネスオーナー」と連携した事業を作れたらと思っています。

ビジネスが安定すればそこに雇用も生まれますよね。この浜通りの環境でどれだけ自走できるビジネスを作り上げるかが重要だと考えていて、ビジネスマッチングを成立させるための交流やマーケティングのサービスを提供しながら地域の人たちをサポートしていきたいと考えています。

また、復興予算を少しでも多く地域内に循環させたいと考えていて、大手企業ともパートナーシップを組みながら、それらのリソースやノウハウを地域に流入させることが大事だと考えていています。

F-ATRAsは観光を主軸に事業を行っていますが、観光は「面でプロモーションする」ことが必要な産業であり、そこに価値があると思っています。

例えばモノを売る場合であれば、商品単体の知名度があればその商品が売れるように、個の商品をブランディングすればそれで済みます。

しかし、観光商品は、旅行にいく地域を選んでから、どこにいくか、何を食べるか、どこに泊まるか、という形で商品を決めるという順序なので、地域全体が魅力的に見える必要があります。

そのため点ではなく面でプロモーションし、地域のブランドを向上させる必要があり、その過程が福島沿岸地域の再生においては重要であるという発想で観光事業を行っています。

双葉町のツアーでは、町民の方々の記憶や文化を土地と結びつけ物語で参加者に地域を伝えるというツアー造成の手法をとっています。

自分がこの町に来た最初の年に、「町とは何かを非常に考えさせられ、町とは人々の人生の集積であり、その人生の結果として街並みが作られるのだなという思いに至り、そういう営み自体がとても尊い」と感じた体験がありました。

それをツアーでどう表現するかというところに今まで培ってきた動画編集としての経験を活かしています。町の記憶や文化を動画にするか、ツアーにするかという違いですね。

Q4. OICをどのように活用していますか?

私たちの会社はフルリモート、副業兼業ありの会社なのでまさにOICの特徴にぴったりはまっています。

社員が東京や千葉にいるのですが、やはり観光事業という特性上、ツアー運営をする際などは各方面からスタッフが浜通りに集合します

その時に時間に縛られずに自由に使用できる作業場があるというのは社員にとってもプラスですし、入居者さんとの会話が予想外のタイミングで活きることもあると思います。

自分の会社に関わる方々にOICを活用してもらうことで、この地域の関係人口をつくっていくという狙いもあります。

Q5. 普段はどのような生活をしていますか。

子育てですかね。子どもが3人いて、今はそれぞれ1歳、年中、小学1年生です。娘が学校に通うようになって、同級生がまだ少ないので不安もありましたが、楽しそうに過ごしているので良かったです。

あとは、盆踊りの事務局など、双葉町にあつまるイベントの運営に携わることもあります。個人的に好きで関わっていますが、会社の仕事なのか個人の趣味なのか曖昧な感じで取り組んでます(笑)

Q6. おすすめしたい○○を教えてください。

双葉町だと初發神社です。

相馬藩の神社の1つで大きな神社ではないのですが、600年の歴史があり、歴史的な価値もありますし、ここを守ってきた地域の人々の想いや文化的背景のお話を聞ける場所です。

この神社では古事記の一番最初の神様である「妙見様」が祀られていて、戦いの神様でもあります。屋根の形がお寺のようであり、神仏習合の色合いがある神社で、当時の宗教観に思いを馳せることができます。

私たちのツアーでも初發神社を訪れます。ツアーではこのようなエピソードを繋ぎ合わせ、町の変化に合わせて物語もどんどん追加されていくので、永遠に完成しないツアーとしてこれからも運営していく予定です。

Q7. 関心のある事や分野はなんですか?

歴史・文化が好きです。今あるものがなぜこうなっているのかや、その背景、ルーツを辿るのが好きです。

源流まで行って、それが今に行きつくまでにどう派生したのかを知ることが面白いですし、そういった考え方は仕事にも繋がっていると思います。

Q8. 山根さんにとっての福島、大熊町とは?

福島県、浜通りと関わることはもはや人生かなと思っているので、ここを軸に何かおもしろい事をやっていきたいです。

◆編集担当より

いかがでしたか。
F-ATRAsのWEBページ「Fukushima Seaside」では福島県浜通り地域のおすすめ観光スポットやイベント、伝統行事などが紹介されています。この地域の魅力が詰まっているので、ぜひ覗いてみて下さい!
Fukushima Seaside HP

 

 

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