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入居企業インタビュー#17 大熊ダイヤモンドデバイス株式会社

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社
星川 尚久さん

札幌生まれ札幌育ち。学生時代に起業を経験。25歳のときに「10年かけてでも世界に通用するような大きな仕事をしたい」と決意を固め、大熊ダイヤモンドデバイスを起業。

Q1. 主な事業内容について教えてください。

ダイヤモンド半導体の社会実装を目指しているスタートアップです。

ダイヤモンド半導体は、1982年国立研究所でメタンガスからダイヤモンドを作るという技術が生まれ、様々な技術蓄積を経て現在に至る、日本発の技術になります。

ダイヤモンド半導体の社会実装が加速した大きな要因は、実は2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故です。そして当時、炉心部分が非常に過酷な環境になってしまったことから、その中でも動作できる半導体を作ろうと立ち上がったのが弊社になります。

北海道大学と産総研(産業技術総合研究所)発のスタートアップですが、それ以外にも東北大学、物材機構、高エネルギー加速器研究機構という国立大学や国立研究所にまたがり、知見を集結して技術開発をしています。

今後は、大熊町内に工場を建設し、ダイヤモンド半導体アンプを量産する段階に移っていきます。

また、大熊町では、廃炉に向けた製品を制作し、その技術を糧に、次世代の成長産業である宇宙・通信産業に応用できる製品なども開発することを目指しております。

Q2. OICに入居したきっかけや活用方法について教えてください。

OICについては、開所前から話は聞いていました。2019年頃から役場の担当の方と話をしている中で、工場を建てるまでの流れも検討した結果、改装前の段階で入居を決断しました。

当初は体育館横の用具室を借りて実験するはずでしたが、いざ始めてみると雨漏りしていることが分かりました。多くの機材もある中で、この場所では実験できない。しかし計画もスタートしていたため「どうしようか」と話をした結果、敷地内、校門を入ってすぐ右にあるプレハブを建てさせていただき、町内での工場建設の前段階として利用を開始しました。

プレハブの中には、福島第一原子炉発電所の中で使う、中性子検出器(燃料デブリを取り出すときに必要なモニタリング装置)を作るための機材が入っています。

原発内の燃料デブリを取り出すにはロボットアームを用いるのですが、取り出した燃料デブリが再臨界を起こす可能性はゼロではありません。

そのため、取り出す際に再臨界を起こすデブリかどうか、中性子量を測って検知するシステムが必要ですが、従来のシステムでは放射線環境下では誤作動を起こしやすい且つ壊れてしまうという特性があります。

しかし、鉛などで放射線からの遮蔽を行うと、今度はロボットアームの重量制限に引っかかってしまいます。

そこで、ガンマ線環境下でも壊れず、正確に中性子を検出できるダイヤモンドでシステム(中性子検出器)を作る必要があるということです。まずはこのような技術を実装し、安全に廃炉作業を進めることができればと考えています。

Q3. 普段はどのような生活をしていますか?

ほぼ育児と仕事です(笑)

一番下の子が0歳なので、23時、2時、5時に起きてミルクをあげて、その隙間時間に仕事をしています。

日曜日には子どもを外に連れて行って、一緒に遊ぶこともありますね。

Q4. おすすめしたい○○を教えてください。

本を3冊紹介します。

1つ目は、育児向けの『パパは脳科学者』という本です。

この本では、脳科学者が、自分の子供ができたときに脳の発達を研究し、その結果を論理的に説明しています。例えば、1歳から2歳まではこういう脳の発達が起きて、数字を認識するときがこの時期ですというような形です。

赤ちゃんの発達において、今こういうことが起きるんだ、と時系列でわかるので、非常に面白い本です。

2つ目は、ビジネスをしたい人向けに、『132億円集めたビジネスプラン』という本です。

これは、ライフネット生命の岩瀬さんというハーバード大学のMBAをトップで卒業した方が、ライフネット生命を作ったときに書いたビジネスプランをそのまま書いてくれているものです。考え方やまとめ方も全部含めておられます。

私も10年前からものすごく好きで、よく読んでいます。これから何か新規事業を立ち上げたいっていう人は、一度読んでみるといいと思います。

3つ目は、学生向けに『ロジカルプレゼンテーション』という本です。

ロジックとは何なのかということが定量的に書かれています。

ビジネスにおいて論理的思考は非常に大切ですが、それを学べる機会は多くはないと思います。これを読むとわかりやすくロジックを理解できるので、おすすめです。

Q5. 今チャレンジしたいことはありますか?

弊社の出口戦略として、数千億円の売り上げを立てられるようなビジネスモデルを日本で描くことです。

私は、日本からデカコーン企業(ユニコーン企業の10倍(100億ドル)以上の企業評価額が付けられたスタートアップ・ベンチャー)以上の会社を作っていくことが大事だと思っています。

特に日本で商品を作り海外で売る、というビジネスモデルは日本の経済的にも重要で、それを国と一緒にしっかりと作り込んでいくことが求められていると思います。

なので、数千億円の売り上げを出せるビジネスモデルをきちんと描き、そのために数百億円必要だという事実を言い切りビジネス構築していくという大きな画を日本で描くことが、私にとってのチャレンジですね。

私はこれまで起業家として生きてきた中で、人類に影響を及ぼすような大きいものを作りたい、とずっと思ってきました。

一番最初の会社はそういうわけにいかなかったのですが、25歳ごろ本当に大きな仕事をしたいと思い、10年ぐらい捨ててもいいと覚悟を決め、世界に通用するような製品を作るために研究を始めました。それが今に繋がっています。

Q6. 関心があること・分野を教えてください。

ビジネスに関連する分野には興味があります。半導体以外にも興味があり、特に研究関係は非常に好きです。

あとは、法律改正に関する情報もよく見ています。これから何かのビジネスを見つけたいなと思ってるのであれば法律改正を追っていくというのは、一つ再現性が高い手法かなと思っています。

Q7. あなたにとっての福島県、大熊町とは?

私達の技術は東日本大震災が転じて磨かれた、という側面があります。

火を最初に使った人間という話にあるように、 最初見たときはきっと怖かったであろうものを、何とか使おうと思って乗り越えてきたからこそ、火が使える人類になったわけです。

ということを考えると、東日本大震災も真正面から乗り越える必要があると思っています。乗り越えることによって得た技術が人類を発展させていく、というのはなんだか胸が熱くなりませんか。

大熊町で正面からビジネスを作り、震災とも向き合っていくことには、こうした意味で非常に意義を感じています。確かに悲しいこともあったけれども、「東日本大震災があったからこそ人類が発展したんだね」と言えるところまで持っていくことが、町としてもやらなくてはいけないことだと思っているし、むしろ日本人としてもやらなくてはいけないことなのではないかと、僕は思っています。

弊社の工場ができ、結果的に雇用が増えてきたらもちろん喜ばしい限りであり、まずは最初の1人を描くことが、我々のすべきことなのかな、と思っています。

◆編集担当より

いかがでしたか。

大熊ダイヤモンドデバイスはいまや日本でもトップのスタートアップです。ユニコーンにも非常に近い企業と言えるのではないでしょうか。

同社が大熊町に根を張ることで、町の大きな活性化に期待できます。同社の今後の活躍に注目です!

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